3歳9ヶ月のタラちゃん

3歳半の記録をつけねばと思いながら書けぬままに時は流れ、息子はいつの間にか3歳9ヶ月になっていました。実はいろいろありまして、3ヶ月前に家族3人東京から埼玉へ引越しました。幼児連れの引越、いや〜聞きしに勝るしんどさでした…
ほんの数kmの引越だったのにしばらくは「とうきょうにかえりたいなあ…」と離れ小島へ来てしまったかのごとく繰り返していた息子もようやくこの土地に馴染んだようで、どうにかこうにか落ち着いたところです。

3歳も後半になると身体の成長はもちろん飛躍的に語彙が増えるためかだいぶ人間らしくなってきます。もうすっかり赤ちゃんぽさは抜けました。今まではこちらの小言に対して「はーい」か「イヤ!」くらいしか言わなかったのが「わかってるよう!もう!」とか「そんなふうにいわないでよ…」とかなかなか小生意気な返事をしてくるようになりました。ていうか言い回しがちょっとのび太チックなのはなぜ。

そうかと思えば「ママって(力士の)えんどうみたいにきれいだね」と手放しで褒めちぎってくれます。美の基準がお相撲さんなのはどうよと思いながらあんなに美しい人と並べて語ってもらえるなんて光栄だわと思ってしまう。大銀杏を結ったばかりの頃もその美しさにほれぼれしましたが、今場所は好調さも手伝って後光が差すようでした。幼児にも分かるんだねえ。しかし大好きな白鵬が休場だったため息子はあまり相撲に興味を示さなくなってしまいました。来場所は万全を期して復活してほしいな…。

話し方といえばなぜか敬語を多用するのも息子の特徴で「〇〇と申します」とあちこちで畏まって自己紹介するのが面白かわいいです。でも部屋番号まで詳細な住所を見知らぬ人に言うのはやめておくれ。活用がところどころおかしくて、「おやつ食べる?」に「食べるです!」、「公園行く?」に「行くです!」一事が万事こんな感じなので、これってタラちゃん語だよなあ、1年でイクラちゃんからタラちゃんに成長したんだなあ、とやたらしみじみしています。

そういえばつい半年前まで寝るときにプラレールトーマスのゴードンを抱きしめていたのが、今はすっかりウルトラマンのソフビに取って替わられました。興味の対象が次々移り変わるのは人の常とはいえゴードンに同情してしまいますが、7月にウルトラマンの新シリーズ、ウルトラマンオーブが始まったのが大きいものと思われます。録画したテレビシリーズを毎日見たい見たいとせがまれるので何度も見ているうちに、ストーリーの細かいところまで覚えさせられてしまい、こちらもだんだん面白さを見出すようになってきてしまいました。こうやって世の母たちは特撮にハマっていくわけですな…

というわけですっかりウルトラマンオーブになりきっている息子、半年前まではiPhoneを向けるとピースをしていたのに今ではウルトラマンポーズしかしなくなりました。夫も子供の頃はカメラを向けられるとそうだったらしく、「これはウルトラマンに目覚めし男の子の必定…」と諦めています。

対人関係では相変わらず誰に対しても優しく、というかお節介焼きまくり、いつでも自分のことはそっちのけで泣いてる子を慰めたり、小さい子を助けてあげたり、大人に対しても落とし物を拾ったり、困っている人にはすかさず「だいじょうぶですか」と声をかけたりしているので、わたしゃ天使を生んじまったよ…と思っています。特に何かを教えたわけでもないのに。やっぱり親と子は別の生き物で、親のおかげでどうにかなるものでもないし、逆もまた然りなのだという当たり前のことを改めて噛み締めています。

やっぱり性格が超外向きだからなせる技なのでしょうか。赤ん坊の頃から後追いも人見知りもなかったし、人前ではあまり母にべたべたしたがらない子です。男の子だし巣立つのはきっとあっと言う間だろうから今を楽しまなくてはと思うし、記憶を整理してできるだけこうして記録を残しておきたい、そうじゃないと瞬く間に老いさらばえてこちらの記憶が覚束なくなるんじゃと危ぶんでいるところです。

栞はウルトラマングッズに埋もれても平気で寝ていられるようになりました。タフだな、おじいちゃん。

私のヒーロー

小1の図工の時間に紙人形を作らされた。女の子たちがネコやウサギやお姫さまを作る中、私は千代の富士を作った。横綱昇進前の、青い締込みの千代の富士。物心つく前からずっと相撲を観ていたと思うけれど、あんなにかっこいい力士は他にいなかった。子どもの心にも強烈な印象を残したんだと思う。

男の子たちがその工作で何を作ったのか記憶にないけれどウルトラマンもいたんだろうな。この間録画したウルトラマン誕生50周年の特番で「あなたのヒーローは誰ですか」という問いかけがあった。夫と息子(3歳)にとっては間違いなくウルトラセブンだろう。「私のヒーローは千代の富士以外ないよ」そう夫と話しながら番組を観ていた。まさかその数日後に亡くなってしまうなんて。癌で闘病中とは知っていたけれど、あまりに早すぎた。

息子は白鵬びいきだ。場所中は「はくほうつよい!かっこいい!」と繰り返している。確かにあの他の追随を許さない強さは尋常じゃない。私にとっての千代の富士以上に強い印象を息子に焼き付けているのかもしれない。私は白鵬についてはなんだかんだ思うところもあるけれど、子どものころ父親にさんざん千代の富士の悪口を言われて辛かった経験があるので、それを息子には決して言わないようにしている。「お母さんは鶴竜のほうが好き〜」と言うだけである。
白鵬が息子の中で後年どんな存在になっていくか、けっこう楽しみにしている。千代の富士が唯一のヒーローだった私と違って、息子にはウルトラヒーローやきかんしゃトーマスのゴードン、いろいろなお気に入りがいるのでもしかしたら相撲のことなんてあっさり忘れてしまうかもしれないけれど。

今から5年ほど前、夫と出かけた初場所国技館のロビーで千代の富士を見かけた。憧れの人が目の前に突然現れたので固まる私だったが夫に促されて握手してもらった。その時親方はカレンダーの宣伝をしていて「カレンダー買ってよね」と言いながら手を握ってくれた。大きくてとてもあたたかい手だった。私は末端冷え性のため冬場は氷のように冷たい手をしており、申し訳ない気持ちでいっぱいになったことを覚えている。子どもの頃からのいろいろな思いを伝えたかったのに思い入れがあまりに強すぎて、ただ一言握手のお礼を言うことしかできなかった。

横綱は私のたったひとりのヒーローです。今までも、そしてこれからも、ずっと。

3歳3ヶ月のシュワッチ!

息子がこの間「(ウルトラ)セブン、ゴードン、はくほう、サボさん」と言うので何だろうと思ったら好きな人の順番だそうで、「好きな人」と言いながらその中で人間は白鵬だけだなあと思ったお母さんです。

ウルトラマン好きの夫に感化され、一年ほど前にウルトラシリーズに目覚めた息子、今や朝から晩までどっぷりハマっています。テレビシリーズを見るわけではなく、ウルトラマンの図鑑を読んだり主題歌をYouTubeやDVDで見たりするだけですがそれだけでも大満足のもよう。でも夫の影響下にあるためウルトラマンウルトラマン80限定という昭和の申し子みたいな嗜好になってます。見せればもちろん最近のも好きになるんでしょうけど、まあ今はEテレアンパンマンしか見せてないし、それは当分先でいいやと思ってます。
先月までJRで催されていたウルトラマンスタンプラリーのテーマはウルトラ6兄弟&その怪獣たちで夫と息子のど真ん中!というわけでふたりで何度も出かけてのめり込むように楽しんでました。男同士の世界が羨ましい気がしないわけではないけど、これからふたりで楽しめる世界をどんどん広げていって欲しいです。その間お母さんは自由を満喫できるもんねー。
とはいうものの、ここのところ毎日ウルトラマン一色なので80までのほとんどの主題歌は私も覚えてしまったし、登場するウルトラマン同士の関係もいつの間にか把握してしまいました。かつて夫がいくら「面白いんだよ!」と言っても見向きもしなかった自分がこうなるとは、子どもの影響って恐ろしい……。

少し前から「なんで?どうして?」の質問攻撃も始まって、いよいよ来たか!と思ったら、「〇〇、ママのことだーいすき……どうして?」自分がなぜ母のことが大好きなのか年中聞いてきます。この変化球は想像していなかった。「ママが〇〇にとって世界にたったひとりのママだからだよ」と苦しい返事をすると、本人も「ふーん」と納得しているのかしていないのか微妙な反応……。この先もっと難しい質問をされるのかと思うとワクワクが止まりません。

まだまだ公園からはまともに帰れないし(「そろそろ帰ろう」というと「ヤダ!ママいらない、バイバ〜イ」と拒否され自転車に乗るまで30分くらいかかる)、そういう意味ではイヤイヤ期は終わってないのかもしれませんが、会話の幅がどんどん広がって、伝えられることが増えてきて面白いし、退屈とは無縁の毎日です。
こんなに濃密な日々だから、人の親は子が独立した後に空の巣症候群になったりもするんだなあと、ふと我に返ったりもするのですが、もちろんそれはまだまだ先の話、とにかく今は一日一日の息子とのぶつかり稽古に精進しよう、と誓うお母さんなのです。

初代から80までの主題歌や挿入歌が収録されています。昭和のウルトラマン好きにはたまらない内容なんだって!そのうちテレビシリーズも見てみよう。