妄想子連れパリ旅行

去年の春フランス語を再び勉強し始めてから、モチベーションが下がらないように息子とのパリ旅行を妄想するのが日課だった。私はフランスどころか渡航経験自体がない。

いま、フランスはもちろん、この国も、世界中いたるところ、不穏な空気がますます濃くなる一方で、息もできない心地だ。まして小さい子どもを連れて観光目的で海外なんて、しばらく実現は難しいだろう。
パリがどんどん遠ざかる。まさに「ふらんすへ行きたしと思へども ふらんすはあまりに遠し」。

でも、こんなときだからこそ妄想だけは逞しくさせたい。夢見ることさえできなくなったら、それこそ何もかもおしまいだから。

ところでフランス、特にパリは、知れば知るほどつくづく子連れ旅行に厳しい街だ。パリの観光スポットはほとんどが半径4kmの範囲内に収まるので、メトロや貸自転車Vélib(ヴェリブ)を駆使すれば楽々回れるはず。
でもメトロにはエレベーターがない。子連れはもちろん、お年寄りや身体の不自由な人はどうしているのだろう。
ヴェリブは300mごとに無人駐輪場があり、24時間自由に借りられる。30分までは使用無料だから短時間で借りて返すを繰り返せば費用はかからないので観光客にも魅力的だと思う。でも当然のように子ども用はないし13歳以下は使用不可。うーん。

そんなときこそ公園に行こう!パリにももちろん魅力的な公園はたくさんある。そして大きな公園はだいたいトイレが完備されている(パリの街中でトイレを探すのは難しい。子連れにはこの点も致命的)。「フランスに行ってまで公園?」と言われそうだけど、息子が歩き始めてこのかた、出掛けるときはいつでも彼が自由に駆け回れる場所を探している。外国でもそれは例外ではないだろう。それに子持ちになってから、私も前よりずっと自然に惹かれるようになった。それは、子どもが大人よりもずっと自然に近い生き物だからなのだと思う。

今のところ夫が最長で1週間しか連続して休めないので、往復に1日ずつ使って実質5日間の滞在になる。


1日目 成田空港(12:10)→シャルル・ド・ゴール空港(16:55)

12時間45分のフライト。大人でもしんどそうだけれど子どもは耐えられるのか?気を紛らわすアイテムが色々必要になるだろう。到着前の数時間は就寝時間になるのでうまくいけば寝てくれるかもしれない。この日は空港に到着したらアパルトマンに直行して寝るだけ。パリは外食費が高いし、子連れで食事に行くのもなかなか厄介なので、ホテルではなくアパルトマンを利用するつもり。マルシェでお惣菜やチーズをテイクアウトして部屋でワインとともに味わうのもまた一興かと。

2日目 時差ぼけ調整のためお休み

着いていきなり休み?とツッコミたくなるけれど、東京とパリでは時差が8時間もあるので子どものために調整日は必須だと思う。そしてきっと1日じゃ足りないとも思う……。調子が良ければアパルトマンの近くを散歩してもいいかもしれない。
息子は私にベッタリなタイプではないので、夫に丸投げして私だけ美術館へ行くというのも手かな(いろいろひどい)。

3日目 パリ市内半日観光バスツアー

3日目にしてようやく本格的に観光開始。パリにもはとバスみたいな観光バスがいろいろある。ものによっては日本語ガイドもつくので夫でも楽しめるし、何よりバス命の息子が大喜びだろう。というわけでこれは外せない。エッフェル塔ルーヴル美術館、ポン・ヌフ、シテ島、パリ市庁舎、バスティーユ広場、凱旋門など、主だったモニュメントを廻ってくれるらしい。パリの地理を掴むのにもいいと思う。

4日目 Jardin des Plantes (植物園)

セーヌ左岸にあるジャルダン・デ・プラント(http://www.mnhn.fr/)は広大で緑あふれる植物園。中をただ散歩するだけでも楽しそうだけど、園内の博物館も様々で素晴らしい。中でも実物大の野生動物の剥製たちが展示されているGrand Galerie de l'Évolution(進化大陳列館)へはぜひとも行きたい!迫力いっぱいの動物たちの大行進、息子も喜ぶだろう。

パリに行ったところで、あちこちへ買い物しに行きたい!という欲求は私にはほとんどないのだけど、ここだけはぜひ行ってみたいと思っているのがChantelivreシャントリーヴル(http://www.chantelivre.com/)という子ども専門の書店。「Chante(歌う)+Livre (本)」の造語なんて店名からして素敵。店内はさらに素敵。じっくり楽しめるようにフランス語を真面目に勉強しておこう。
そして、せっかくセーヌ左岸に来たならば、モンパルナスの文学カフェ、Le Sélectにもぜひ立ち寄りたい。看板猫のミケちゃんに会いたいのだ!かなりの高齢らしいけど、私たちが訪ねるまで元気でいて欲しい!

5日目 Parc de la Villette (ラ・ヴィレット公園)

ラ・ヴィレット公園(http://villette.com/)は誰が呼んだかパリの上野公園と言われている……って呼んだのはもちろん日本人だろうけど。でも科学博物館があったり国立高等音楽院があったり地理的にもパリの北東に位置するので本当に上野公園のよう。科博はもちろんのこと、子ども用公園にも珍しい遊具がいっぱいで楽しそう。

この公園について、久松健一さんの単語集には「観光客があまり来ない穴場」という記述があったけれど、たいていのガイドブックには載っている。実際のところはどうなんだろう。あの単語集しばらく改訂されてないし。

6日目 ヴェルサイユ宮殿1日観光

フランスに行く目的の半分以上がヴェルサイユ宮殿http://jp.chateauversaille.fr/)観光と言っても過言じゃない。「くさむらぁにぃ〜」と歌いながら行きたい!女児はお姫様気分を味わえて喜ぶらしいけど男児はどうかな?
でも実は豪華絢爛な宮殿よりも、離宮のプチ・トリアノンに行ってみたい。マリー・アントワネットが王から贈られたそこには王妃の家や農場や水車小屋があり片田舎の風景そのもの、今は一般公開されており、子連れ散歩にぴったりだとか。原っぱでソフトクリーム食べたら幸せになれそう。

5月からベルばらがBSで再放送されるようなので今から楽しみ。観るの何回目かな。

7日目 シャルル・ド・ゴール空港(13:40)→成田空港(9:40)

以上、公園メインに考えるパリ巡り。やはり時間が圧倒的に足りないな。公園ばかり廻るとしても、少なくともあと3日は欲しい。

ところで前回のエントリーに書いた『フランスの子どもは夜泣きをしない』によれば、公園で一緒になった親子連れに何気なく「お子さんおいくつですか?」などと話しかけようものなら怪訝な目で見られてしまうのだそう。いつでもどこでも誰にでもBonjourは強要するくせに公園での触れ合いはダメなのか!まあ公園デビューとかめんどくさいことがなくて楽といえば楽と言えるのかもしれないけど、やっぱりフランス人て難しい……。

参考文献

親子のためのパリ案内―パリジェンヌに学ぶ子育てスタイル パリジェンヌ流人生の楽しみ方を学ぶ旅