2歳9ヶ月の「いる」と「ある」

息子が2歳9ヶ月になりました。いろいろ成長したところはありますが、一番はやっぱり言葉の面でしょうか。人間が言語というものを習得していく一部始終を観察することは人生でそうそうないことなので毎日楽しんでおります。

「言葉の遅い子は喋りだしたら赤ちゃん言葉をすっ飛ばしてあっという間に饒舌になる」などという話を何度も聞きましたが、息子に限ってはそれはありませんでした。もちろん遅いは遅いなりに日々着実に進歩しており、今はやっと二語文が話せるようになったところです。

「ママ、ギュギュ〜(だっこ)」
「こえ、なあに?(これ何)」
「ちゅみき、あしょぼ!(積木で遊ぼう)」
「むいちゃ、ちょーだい!(麦茶ちょうだい)」
そして、
いただきますは「いまわし〜」
ごちそうさまは「ごま〜」
かわいいったらないです!

そういえばすっかりママ呼びが定着しました。もちろん「おかあさん」よりはずっと発音しやすいからだと思うので、本人の言いたいようにさせておこうと思います。

今まではこちらが息子の宇宙語を理解できず、最後は泣いてブチ切れられてしまう修羅場の連続でしたが、少しでも話してくれれば意思の疎通がはかれるし、気持ちのうえでとても楽になります。自分の名前もようやく言えるようになりました。何はともあれ名前だけは万が一のために早く言えるようになって欲しかったので一安心です。

それからおそらくEテレみいつけた!」の影響と思われますが、突然前振りもなく「な〜んだ!?」とクイズを出題してくるようになって、これもすごくかわいいです。ノーヒントで息子の頭に浮かんだものを当てないといけないのですが、たいていきかんしゃトーマスのキャラクターの誰かを言えば正解なのでわりと簡単です。先月トーマスミュージカルに行ってからすっかりハマり、息子の頭の中は四六時中トーマスでいっぱいです。

言葉の面で特に面白いと思ったのが「いる」と「ある」の区別がなかなかつかないところ。たとえば
「ねこ、あった」
「おはな、いる」
などと言うのでその都度「猫がいたね」「お花があるね」と言い直しています。
以前Eテレの外国人向け日本語講座をたまたま見ていたとき、外国人にとって「いる」「ある」の違いは難しい、という内容だったのを思い出しました。
「いる」も「ある」もフランス語ならil y a、英語ならthere is /there areで済んでしまいますが、日本語はもちろん違いますし、単純に生き物が「いる」無生物が「ある」というわけでもない。お気に入りのぬいぐるみを「いる」ということもあるし、タクシーが「いる」とも言う。微妙なニュアンスが難しい、と番組で外国人たちが悩んでいましたが、母国語でもそれは難しいことなのでした(うちの子だけかもしれませんが)。外国語を学んでいる身としてとても参考になります。

言葉以外については前回(2歳6ヶ月)と比べてみると、いつの間にか掃除人はやめてしまいました。家にいるときクイックルワイパーや掃除機を奪いに来ることはあるけれども、ごみ拾いに情熱を燃やすことはなくなりました。世の中にはごみ拾いよりも楽しいことがたくさんあると気づいたようです。
そして人類皆兄弟は相変わらずですが、以前ほど誰彼構わず愛想を振りまくことはなくなり、彼なりに人を選んでいるなあ、というのが親から見て取れます。なんだか寂しい気もするけれど、こうやって少しずつ人間らしくなっていくのですね……。

2歳の夏が慌ただしく過ぎて行きました。