2015年度春季仏検2級最終結果

暦の上では秋、暑さも一段落したとはいえまだまだ蒸し蒸しした日が続く。お母ちゃんも猫のごとくゴロゴロしたいよう。

無事合格。思ったよりずっと高得点だった。間違った場所もひとつははっきり覚えている。現在形で言うべきところをわざわざ複合過去にしてしまい、話題が変わって随分経ってから「あ〜あそこ間違ってた〜でももう遅い〜」と歯噛みしながら喋り続けてたのだった。とにもかくにも受かって良かった。ホッとした。

合格したので面接の模様を覚えている限り振り返る。一次試験に関しては問題用紙に「試験内容を外部に漏らしちゃいけません」の注意書きがあったけれど、二次では注意も指示もなかった。質問内容が受験者の日常生活に関わることに限られていて、分かりきった問題しか出題されないからなんだろう。

……

係員に促されて試験室に入る。試験官はフランス人日本人ひとりずつでともに男性。どちらも文学青年がそのまま年を重ねたような繊細そうな風貌だった。
Bonjour, messieurs !」と元気だけはよく挨拶、席をすすめられたので着席、「では自己紹介してください」とフランス語で求められ、名前と職業と家族構成、どこに何年住んでいるかを答えた。

質問はほぼフランス人試験官から出されるらしいけれど、挨拶の段階で彼の声がかなり小さいのに少し不安を感じる。

試験官「朝は早く起き……(声が小さいのとこちらがテンパってるのとで動詞の活用を聞き逃す)

私「すみません、いつものことですか?それとも今朝のことですか?」

試「いつものことです」

私「6時に起きます(言いながら、まずOuiかNonで答えるべきだったと後悔)

試「昼食はどこで食べますか?」

これはちゃんと聞き取れたけれど、ただの現在形だったので、やっぱりいつものことか今日のことか分からない。バカみたいだけど勘違いしたまま間違って答えるのは嫌なので仕方なく尋ねる。

私「いつものことですか?それとも今日これからのことですか?」

試「いつものことです」

私「子どもが小さいのでいつも家で食べます。何品か料理して(quelques plats(何品かの料理)と言いながら、いつも炒飯だけとか素麺とか一品だけじゃん!と自分に突っ込む)一緒に食べます」

試「夜は何をして過ごしますか?」

私「息子を風呂に入れて、寝かしつけるときに絵本を読みます。息子が寝てからフランス語の勉強をします。特にこの試験の準備をしました(ここでj'ai préparéと複合過去を使ってしまう)

試「夜は早く寝ますか」

私「23時に寝ます(またハイもイイエも言わなかった……)

試「朝起きて最初にすることはなんですか?」

私「顔を洗います(あ、トイレに行くんだった、そっちのほうが簡単に言えたなと思う)

試「それから?」

私「朝食の準備をして(さっき活用を間違えたpréparer、今度は慎重に正しくje prépareと言えた。日本人には発音しにくいよpréparer。ならfaireを使えばいいのにpréparerが口から出てきてしまった)みんなで食べます」

試「インターネットでよく買い物しますか」

私「(そういえばネット用語全然予習してなかった、と思いながら)はい、よくします。子どもが小さくて外に買い物に出るのは難しいので。Amazonで本や参考書を買います(買うのは主にオムツなどの育児用品だけど咄嗟にcoucheが出てこなかった)

試「テレビはよく観ますか?」

私「いいえ、自由な時間がないのでテレビはあまり観ません。子どもにかかりきりなので(何でもかんでも息子のせい……)。
(ここでふと思いついて)家事の間は息子に子ども番組を観せておきます」

試験官ふたりがフフッと笑う。
フランス語の参考書で使役の例文によく"Il ne faut pas laisser les enfants regarder la télévision toute la journée."(子どもたちに一日中テレビを見せっぱなしにしてはいけません)みたいな文章があるのでそれをアレンジして"Je laisse mon fils regarder les émissions pour les enfants pendant mon ménage."(家事の間は息子に子ども番組を観せておく)と言った。でもこのフレーズは特に練習したわけでもないのに意外なほどすらすら口から出てきたので自分でも驚いた。

試「あなたの好きなテレビ番組は?」

これにはびっくり。ちょっとムッシュー、たった今「テレビ観る時間ない」って言ったばかりですよ私。あ、もうすぐお昼ですもんね、お疲れだしお腹も空いてるんだろうなあ。
仕方ないので正直に答える。

私「相撲の番組が好きです(生放送en directを付け忘れた)

今まで淡々と話していた試験官のふたりの顔色が変わる。

試「ほおお」

私「以前は夫とよく両国国技館へ行きました」

試「相撲観戦は面白いですか?」

私「はい、素晴らしいです!」

お相撲に興味があるのか急にニコニコになる試験官。

試「では……あなたの家族について教えてください(ここで終了合図のノック)。あ、今のは忘れてください(笑)、これで終了です」

私「ありがとうございました。さようなら。良い一日をお過ごしください」

会釈して部屋を退出。

……

だいたいこんな感じ。反省点としては、インターネット関連の語彙をもっと増やしておくべきだった。télécharger(ダウンロードする)synchroniser(同期する)くらいしか覚えていない。これからもよく使うことになるだろうからチェックしておかないと。

今回はとにかく試験官の声が小さくてボソボソだったので参った。あと、受験者が言い淀むと試験官が助け船を出してくれる、という情報をweb上でよく目にしたけど、私の場合残念ながらそういう雰囲気は一切なかった。試験官によるのだろう。でもフランス語で話せて楽しかったし、それがちゃんと通じたことが何より嬉しかった。やり切った感はあるので高得点での合格はすごく励みになる。

次回は受験までどんな勉強をしてきたか振り返ってみたい(たいしたことはしていないけど)。