さようなら、星の王子さま
クリスマスイブに"Le Petit Prince"をようやく読み終えた。ちょうど3ヶ月かかった。ディクテした文章は無印ノート1冊分。ずっと王子さまと一緒に旅をしていたような気がする。書き取りしながらだと1度に1ページ読めるか読めないかだし、息子の寝つきが悪いと全く読めなかったりもしたけど、その苦労を上回る面白さだった。考えたら外国語の本を通して読むのは初めてのこと。何度も読んだ物語なのに、新しい発見がたくさんあった。
"L'essentiel est invisible pour les yeux."(大切なものは目に見えない)という言葉ばかり一人歩きしているけれど、なぜ見えないのか、見えないならどこで感じるものなのか、それは実際読んでみなければ分からない。原文で読めば作家の想いに直に触れることができるような気がする。
最初はリライト版で読んでいたのだけど、文章と音声が一致してない部分や、訳が微妙なところもあったので、結局Kindleで原文を読み直した。すごい手間がかかったぶん、おかげで精読できた。
ディクテを写経にたとえる人がいるけれどよくわかる!静かな環境で心落ち着けないと文章が全然頭に入ってこない。集中してサンテックスの美しい言葉に耳をそばだてている間だけ、育児のしんどさから解放された。
むしろ、こういう忙しいときだからこそ読んで良かったのかもしれない。これからも折に触れて読み返すことになるだろうし、いつか息子に読んで聞かせてあげる日も来るだろう。そのたびにイヤイヤし通しだった2歳の息子のことや、育児に忙殺されてくたくたのボロ雑巾だった自分のことも蘇ると思う。今はあまり思い出したくないその記憶もまた「大切なもの」のひとつに違いない。
初学者にとっては文法的に単純過去がネックになると思うけれど、それさえ押さえれば特に難し過ぎるということもないと思う。ディクテすれば語彙も増えるしフランス語の音にも慣れるし何よりサンテックスの真っ直ぐな言葉が胸をうつ。文法を一通り終えた人にはげしくおすすめです。
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こちらはKindle版原文。