めぐり逢わせのお弁当
めぐり逢わせのお弁当(http://lunchbox-movie.jp)、ヨガの先生に教えてもらって観て来ました。とても良かったです。
インド映画なのに踊りも派手な演出もありません。主人公は平凡な主婦と、退職間際のサラリーマン(このおじさん、どこかで見たことあると思ったら「ライフ・オブ・パイ」でおとなになったパイを演じた役者さんでした)。お弁当の配達間違いという小さなハプニングからふたりの交流が始まるのですが、ほかに特別な事件が起きることもなく、物語は淡々と進みます。
だけど次第に浮き彫りになってくる、そんなごく普通の人たちが抱えているさまざまな問題。ここで描かれているのは私たちが夢見る悠久の大地インドではなく、リアルな現代のインドです。そこで生きるヒロインもまた、「幸せの国」ブータンに憧れていて、なんとも言えない気持ちにさせられます。
ひとつひとつはとても深刻な問題なのに、描かれ方が湿っぽくないので、最後には温かい気持ちになれる映画です。幸せな明日を願う真摯な祈りがそこにあるからなのかもしれません。
ところでインドのお弁当配達には100年以上もの歴史があるそうです。家庭や食堂で作られたお弁当は、専門の弁当配達人によって自転車で駅まで運ばれ、電車に乗せられ、目的駅に着いてからまた自転車で各会社へ運ばれます。弁当1個につき配達人3〜4人がリレーして家庭(または食堂)と会社を往復します。弁当配達人の数、延べ5000人。今は毎日20万個ものお弁当が配達されているそうです。私がこの仕事を知ったのはこの本から。
- 作者: 服部直美
- 出版社/メーカー: 情報センター出版局
- 発売日: 2008/04/01
- メディア: 単行本
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インドが日本を上回るお弁当大国だと知って驚きました。カレーが毎日のお弁当になるなんてびっくり。あちらのお弁当は日本のそれとは違ってアルミの段々重ね。かさばるのはもちろんのこと、重さは1.5kg超。だからこそ配達人の仕事が成り立つというわけです。
独自の仕分け法によって、誤配は600万分の1の確率でしか起こらないのだとか。そのわずかな確率にこんな素敵な物語を紡いだバトラ監督、ニクいわあ。
20万人の胃袋を支えている配達人の、雨にも風にも満員電車にも負けない仕事ぶりも映画の見どころです(出演しているのはおそらく本物の配達人)。