種村季弘の眼 迷宮の美術家たち
鰯の頭がたくさんついた帽子をかぶっていらっしゃる。信心からということでしょうか。彼が池袋出身とは知りませんでした。
10代のころは惹かれてやまなかったゾンネンシュターンの狂気を目の前にして、今はちょっと距離を置きたいなと思ってしまったのは、やっぱり人の親になってしまったからでしょうか。うむむ。
でも今回の展示で一番良かったのは種村さん宛に書かれた書簡の数々で、澁澤龍彦、稲垣足穂、瀧口修造、吉行淳之介、武田百合子など、錚々たる作家陣からの葉書や手紙は読み応えありました。それぞれの文字に人となりを見ることができます。武田百合子からのものは新聞の書評へのお礼状だったのですが、短い中に喜びと感謝の気持ちがぎゅっと込められた誠実な手紙で、素敵でした。こんなふうにさらりと書けたらいいなあ。憧れます。
展示は来月19日まで。10月4日は巖谷國士さんの講演があって、本当はこの日に行きたかったのですがかなわず。幼児持ちの辛いところ……。