「うーーーわーーー☆」がききたくて

 以前、息子の食が細かったころ、どうやって食べてもらうか思い悩んでいると「大丈夫、男の子はそのうち肉さえ与えとけばよくなるから」と諸先輩がたにアドバイスされました。そしてそれは真実でした(反面、肉以外を食べてくれないという新たな悩みを抱えることにもなりましたが……)。

 息子は特に餃子が大好きです。餃子なら野菜もたくさん摂れるので親としては都合がいいです。焼き立てのあつあつじゅうじゅうを見せると「うーーーわーーー☆」と目をキラキラさせて大声あげます。美味しいものを見てこういう大袈裟なリアクションをする人間が本当に存在することを初めて知りました。グルメリポーターも真っ青です。

 もちろん1歳児に焼き立てをそのまま与えることはできないのでキッチンばさみで切り刻み、よーく冷ましてから与えるので肉汁も何もあったもんじゃないのですが、それでも食べながら彼流の「美味しい」のベビーサイン、オツムてんてんしまくります(「美味しい」の正しいベビーサインはほっぺに手を当てるのですが、何度教えてもこの形になってしまいました)。

 そんなに喜んでもらえるならお母さん張り切っちゃうわ、と餃子をしょっちゅう作っています。料理として難しいわけではないけれど、みじん切りして混ぜて寝かせて包まなくてはならないので餃子は手間がかかります。更に我が家の場合一度に大量に作らねばならないので大変です。毎回50個は作ります。冷蔵庫に大量の皮があるのを見た母親に「友だち呼んで餃子パーティでもするの?」と聞かれてしまいました。パーティなんてありませんよ。食べ盛りをとっくのとうに過ぎた夫がそれはそれはたくさん食べるのです。「作り手が座れない料理っていまどき天ぷらくらいじゃなかったか?」と自問しながら焼いては出し焼いては出ししています。さすがに一度の食事で50個すべて食べるわけではないので残りは冷凍しますが、息子が食べ盛りになったら50個ではきかないかもしれません。

 この間テレビでちょうど餃子の作り方をやっていました。包み方について、ヒダは左右それぞれから寄せた2枚で充分ということだったので、今まで5枚寄せていた私には目からウロコでした。で、さっそく2枚ヒダで作ってみたら、時間は短縮できるし味に遜色ないしでとても良かったです(番組のリンクを貼ろうとしましたが、サイトではヒダについて言及されていませんでした)。

 いつものように豪快に平らげた夫に「餃子のヒダ、今まで5枚つけてたのを2枚にしてみました」と言ってみたら「全然気づかなった」で片付けられました。そもそも5枚つけてたことも知らなかったらしいです。ヒダなんて息子にとってはなんのことやらさっぱりなのは当たり前ですが、まさか夫も同レベルだったとは。今までせっせと頑張っていた私はなんだったのか……。でもまあいいや、これからは2枚で済むんだから。私は息子に美味しく食べてもらいさえすればいいのです。

 ずいぶん前に栗原はるみの「ごちそうさまがききたくて」というベストセラーがありましたが、私は息子の「うーーーわーーー☆」がききたくて、今日も餃子を包みます。

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