雨の色は

ゆうべの手紙にこころがはぐれ うつらうつらの午後は
夜鷹の鳴く島に住む人を訪う夢をみる

柔らかく降り注ぐ
音のないさみしさは
瞼の奥深くに
終わりを告げた雨の色

冷たく輝く群青にしどけなく抱かれ思う
あの指と声は今頃どこで誰に触れて笑う

白く光る身体で
夏の海を切り裂けば
忘れ得ぬおもかげも
こぼれ落ちてゆくだろうか

柔らかく降り注ぐ
音のないさみしさは
瞼の奥深くに
終わりを告げた雨の色


(2000)