青のかたみ

オレンジに傾いた月の姿で潮時を占う
確かめたはずの唇さえもが滲んで見えない

ああ 冷たい水底さえ暖かな褥のようで

私の嘘が見え隠れしている
ふたりを包んだ優しい孤独
白い雨そぼ降る部屋の隅
あなたのかたみが泣いてる

柔らかな雨の音に寄り添うように言葉をたぐれば
別れたはずの眼差しに捉えられ息もできない

ああ あなたが私を呼んだ頃の空色思い出した

私を連れて遠くまで逃げて
月の砂漠果てるかの土地まで
この世の果てに今ふたりきり
あなたは何を待つのだろう

私の嘘が見え隠れしている
月明かりが消えたその時さえ
確かに見えたその黒い瞳に吸い込まれて
時は止まった


(2002)