さめぎわ

地下鉄を抜けた ふじ色の夕空に
閉じ込められて帰れなくなったふりをした

わたしすこしだけ すこしだけ
移ろうことに飽きてしまった

散らかったままのざわついたからだが
思い出すたびに熱を帯びてゆくのがわかる

わたしすこしだけ すこしだけ
戦くごとに年老いてゆく

ふたりの手首を流れる蒼い血筋を重ねて
今宵は眠りだけを貪りたいのに
わたしはやがて目覚めて 月の海に身を浸すの
思い出はそこにだけ息づいているから

別れ間際に男の子が見せる
残酷なほどのあの優しさはどうして

わたしすこしだけ すこしだけ
触れられぬ恋を忘れかけてる

ふたりの手首を流れる蒼い血筋を重ねて
今宵は眠りだけを貪りたいのに
わたしはやがて目覚めて 月の海に身を浸すの
思い出はそこにだけ息づいているから


(2000)