感覚の夜

遠ざかる 夕暮れる
揺れながら 町を静かに離れた
こうして気がつけば 
深い深い眠りを探してた

ゆっくり近づく足音は
誰のものでもなかったから
誰かはいつでも知らぬ間に忍び込む
ほら胸の奥

何の香りだろう 夢の続きかな
ああ 目を開けなくちゃ
誰の言葉だろう 君の名前かな
ああ 戻れないよ 次の月夜まで

ぼやけてく にじんでく
恋人が不意に笑った気がした
どうして離れたの
もう二度と会えないかもしれない

悲しい歌なら数え切れぬほど
紡ぎ続けてきたよ
今はあかりひとつ灯して
裏庭に待ち続けたい

いつの記憶だろう 指で触れようかな
ああ 声を聴かせて
どこで出会うだろう 彼方の隣かな
ああ 戻れないよ 次の夜明けまで


(2001)