親の仕事

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 突然ですが子どもとの散歩って親にとっては修行です。

 大人が3分で行ける場所に30分かけて行くのです、子どもって。歩みがゆっくりなだけじゃなくて、大人が行きたい方角と必ずといってもいいくらい逆の進路を取るし、犬や猫を見つけたらその都度追いかけるし、看板や木に抱きついてはしばらくペシペシしたがるし、小枝や小石や落ち葉を延々拾い集めたがるし。

 その間の親といえば、子どもが車道に飛び出さないように、妙なもの(吸殻とか)拾って口に入れないように、とにかく神経張り詰めています。そんなこんなで時間を食って公園に辿り着けずに散歩を終えることもしばしばあります。でも子どもは五感をフルに使ってものすごく楽しそうにしているので、なるべくしたいようにさせています。

 日々そうしながら、親の仕事はまず待つことだと知りました。もちろん時間通りに動かなければいけないときもしょっちゅうあり、その場合は泣きわめこうが暴れようが問答無用で強制連行していますが、時間のあるときはひたすら待っています。

 私が小さい頃、父は全然待ってくれなくて、外出した時はいつも父を走って追いかけていました。更によそ見をしようものなら怒鳴られるので、父と出掛けるときはひたすら走り続けていた記憶しかありません。疲れるわ怖いわで父との外出はちっとも楽しくなかった。

 自分が親になってから、父が親の仕事を放棄していたことがよく見えてきました。だから私はとことん待ってやろう、と思います。もちろんこちらも人間なのでしんどいことだってあります。そこで手や口を出せば親の思い通りに事は運ぶでしょう。でも子どものためには何にもならない。

 待つこと、見守ること。簡単なようで、親の仕事の中できっといちばん難しくていちばん大事なこと。逆に言えば親が子にしてやれるのはそれくらいしかないんだと思います。きっと、子どもが大きくなってからもこのスタンスは変わらない、変えてはいけないものなんです。これはやはり私の修行です。

 今感じているこの気持ちを忘れないようにしたい。今日も全力であっちへフラフラこっちへフラフラ楽しそうに歩く息子を見守りながらそう考えています。