花のゆれ

たあいないあなたとのおしゃべりの中に
わたしはかすかな気配を感じとる
とてもいい匂いのするそれは
わたしだけの小さな秘密

ひとり部屋に横たわる夜も
散りぎわの花のように心は赤く揺れる
ふたりの夢を何度も見てしまいそうだから
眠らずにいるの

夜の闇に紛れるあなたの目を
瞬きもせずに見つめつづけた
別れてしまった恋人のように
あなたに降り積む淡雪の思い

ひとり街に佇むときでも
空の青にあなたのかけらを探してしまう
ふたりの指をどこかでつなぐためわたしは
静かに目を閉じる


(2001)