2014-02-14 ぼくの雪 詞 お前が生まれた冬の午後 牡丹雪が降っていて 五時の時報が鳴ったのを 覚えているわと母が言う 雪の日生まれのぼくと 夏を愛するきみは いつか月の裏庭で恋をする 病室の窓から見えたのは 闇を照らす雪灯り お前と並んでいるだけで 涙が出たのと母が言う 雪の日生まれのぼくの からだを愛したきみを 忘れてしまうために手紙を書いた 夜が明けたとき雪はやみ 白くてちいさな空がいた 胸の奥まで沁みてきて 幸せだったと母が言う 雪の日生まれのぼくは きみと遠ざかるほどに 流れる血の色だけを思い出す 雪の日生まれのぼくと 夏を愛するきみは いつか月の裏庭で恋をする (1999)