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楽園ワルツ

南へ行こう 雪を知らない国へ夢のさめぎわ そっとくぐり抜けて水面漂う三日月に乗り込み太陽に愛でられた島へ向かうよ秘密の果実を頬張る君の黒い乱れ髪金色にこぼれてゆく僕はもう何もいらないよ君の中で骨になれるのなら差し伸べた手に手を重ね合わせて溶…

雨の色は

ゆうべの手紙にこころがはぐれ うつらうつらの午後は夜鷹の鳴く島に住む人を訪う夢をみる柔らかく降り注ぐ音のないさみしさは瞼の奥深くに終わりを告げた雨の色冷たく輝く群青にしどけなく抱かれ思うあの指と声は今頃どこで誰に触れて笑う白く光る身体で夏の…

青のかたみ

オレンジに傾いた月の姿で潮時を占う確かめたはずの唇さえもが滲んで見えないああ 冷たい水底さえ暖かな褥のようで私の嘘が見え隠れしているふたりを包んだ優しい孤独白い雨そぼ降る部屋の隅あなたのかたみが泣いてる柔らかな雨の音に寄り添うように言葉をた…

さめぎわ

地下鉄を抜けた ふじ色の夕空に閉じ込められて帰れなくなったふりをしたわたしすこしだけ すこしだけ移ろうことに飽きてしまった散らかったままのざわついたからだが思い出すたびに熱を帯びてゆくのがわかるわたしすこしだけ すこしだけ戦くごとに年老いてゆ…

海あかり

うす紫に燃える 窓の中の海まばたきひとつで魚になれそうな気がしたの膝の上の猫にとつおいつ話すのは他人づてに聞いていた父と母のゆくえ父さんは唄うたい 母さんは踊り子波の奥に漂うちいさな島に暮らすというひとりきり娘は架空の恋人と遊び海色のインク…

感覚の夜

遠ざかる 夕暮れる揺れながら 町を静かに離れたこうして気がつけば 深い深い眠りを探してたゆっくり近づく足音は誰のものでもなかったから誰かはいつでも知らぬ間に忍び込むほら胸の奥何の香りだろう 夢の続きかなああ 目を開けなくちゃ誰の言葉だろう 君の…

かなりや

今夜の肌の色に 似合う服を探す枕辺で囁くはかなりや千切れてくこころから 紡がれる言葉まではなんて遠いんだろうかなりや愛するひとを忘れたふりをしてうつろう僕の寄せては返す想いからお前は生まれたお前が忘れたうたを僕が口ずさもう迸るものがあるから…

ときめき

その瞳の奥に海を見つけた僕はまだ何もかも話せずに迷いの中で昨日までの隙間を埋めるように少しずつ近づけたなら君の窓に揺れる花は今も咲きほこっているだろうか教えてよときめき憧れた頃にいつだって惹かれ揺られる黄昏にさらわれ気付けばひとり僕はまだ…

花散る部屋

ひろがりほどけて花と散る絡み合い続けた記憶睫毛に憩う花びらみたい取り止めのない嘘のひとつマグノリアのにおい胸の奥へすべり落ちる狐窓の外で季節はいびつに巡るわたしはたった今生まれたばかりのうたあなたの笑顔に向き合えたら弾けるひろがりほどけて…

恋人の名前

夜がこんなにつめたいのはあなたを忘れかけたせいかじかむ指で覚えかけの歌爪弾いても聴くひとなどなくて今は同じ夜を隔て互いの名前を夢に叫ぶだけあなたがくれたひとつのしるしにすがって息をしてるいつかあなたに見せたかったこの胸のくらやみを決してあ…

花を飾る

花を飾る 胸の奥にくずおれてしまいそうだからゆれるゆれる 千々にみだれる言葉にならぬものが多すぎてあしたほろびる わたしのからだ夢にとろけて 二度と戻らぬ同じいのちを生きられなかったきみはどうしてわたしに似ている雨のなかをただ歩いてた懐かしい…

空を越えて

空を越えて ぼくは行く サカナになった きみを追いかけ 水鏡で紅をひいて 春の嵐が吹き荒れるのを 頬杖ついて待たずに 真昼に咲いた白い月を 鞄の中に詰め込むために きみは駆けて行った 抱き締められてた 花を手折る夜には 移ろいやすいきみの瞼を七色に染…

花のゆれ

たあいないあなたとのおしゃべりの中にわたしはかすかな気配を感じとるとてもいい匂いのするそれはわたしだけの小さな秘密ひとり部屋に横たわる夜も散りぎわの花のように心は赤く揺れるふたりの夢を何度も見てしまいそうだから眠らずにいるの夜の闇に紛れる…

さようなら、男の子

読みかけの本を閉じるように 途切れて消えそうなふたりの言葉 も一度振り向いて笑いかけても ひとりごと夜にこだまするだけ 並んだ影法師あなたから抜いて行ったの さようなら男の子 さようなら女の子 もう二度と会えぬのなら さようなら男の子 さようなら女…

お針子と唄うたい

あのひとは今日も舞台で恋に狂った女の唄うたう わたしは朝から晩まで工場のミシン踏む 窓を打つしずくは 幸せの合図よ あのひと駆け足で 坂道降りてくる 雨が降ればあのひとは迎えにやってくる 黒いこうもり傘を広げ迎えにやってくる 舞台のない日はアパー…

ぼくの雪

お前が生まれた冬の午後 牡丹雪が降っていて 五時の時報が鳴ったのを 覚えているわと母が言う 雪の日生まれのぼくと 夏を愛するきみは いつか月の裏庭で恋をする 病室の窓から見えたのは 闇を照らす雪灯り お前と並んでいるだけで 涙が出たのと母が言う 雪の…

寝ても覚めても

夜明け前 小舟は出てゆく最後まで言えなかったこぼれ出す言葉の玉を集めましょうそちらまで今ならきっとわかるあなたが教えてくれた愛のきざし夢のつづき花たちの命のおわりいつだってふたりは並んで歌い続けていたよね忘れてたひとつひとつを奏でましょうこ…